Blog ブログ

Blog

HOME//ブログ//配偶者居住権 ②

やや難しい内容

配偶者居住権 ②


○本来の趣旨


配偶者居住権が創設された経緯を簡潔にいえば遺された配偶者が安心して暮らしていけるようにするためです。

例えば、遺された夫と娘との折り合いが悪いと配偶者が後妻で子が前妻の息子の場合など、何らかのトラブル要因がある場合に、配偶者が住み慣れた我が家を追われるという事態を防ぐことができます。本来は節税のために創設された規定ではありません




○評価の考え方


配偶者居住権を設定すると、自宅は「所有権の価値」と「配偶者居住権の価値」とに分けて評価されます。

例として、評価額が100の自宅に配偶者居住権を設定したとすると、配偶者居住権の評価額が40、所有権の評価額が60など、自宅の評価額を2つに分ける感覚です。




○節税について


1.配偶者居住権の消滅


配偶者居住権は取得者の死亡によって消滅します。これを利用して先の相続時に遺された配偶者が配偶者居住権を取得し、後の相続時の相続税額を減額できるというのがこの規定による節税の基本的な仕組みです。

 

2.子の居住状況の影響


例えば遺された配偶者と子が同居していて、配偶者が亡くなった後も、子が所有権のあるその家に住み続けるなら、配偶者居住権の設定は相続税の節税に有効と言えます。

但し、子が貸家住まいである場合には、先の相続で相続するより、後の相続で小規模宅地の特例を使って相続した方が有利ということがあり得ます。つまり、配偶者居住権に節税効果があるかどうかは、小規模宅地等の課税価格の特例が使えるかどうかによっても異なるのです。

 

3.遺された配偶者が保有する財産の影響


遺された配偶者が保有する財産の額等によっても配偶者居住権を設定するか否かの判断に影響が出てきます。先の相続と後の相続のどちらの税負担が重いのかで異なり、税負担の少ない相続で自宅を相続させるのが有利となります。

ですので配偶者居住権を設定する際には夫妻の両者の相続税額を考慮する必要もあるのです。

 




○最後に


配偶者居住権を設定することで節税になるか否か判断する事は非常に複雑で、個別の事情が大きく影響しますので専門家に相談することをお勧めします。
SHARE
シェアする
[addtoany]

ブログ一覧